映像翻訳者の気になるギャラ【その1】
どんな仕事にも共通のことですが、働く上でお金のことは最も気になることですよね。
翻訳者に限らず、フリーランス全体のギャラが下がりつつあると言われている昨今ですが、
映像翻訳は人気の分野ですので、他分野に比べてさらにギャラが低くなる傾向にあります。
実際に報酬が安すぎることから、映像から実務に転向した翻訳者さんの話も少なからず耳にします。
今回は映像翻訳者のギャラについて、まとめていきたいと思います。
作業量(尺)の計算について
映像の長さのことを、映像業界では「尺」と呼びます。
明確な定義はありませんが、30分以下のものは「短尺」、およそ80~90分以上のものは「長尺」と言っていいと思います。
実務翻訳は1ワード○円、出版翻訳は400字につき○円(印税は別)という単価で報酬が計算されることが多いですが、
映像翻訳の場合は1巻(10分)○円という単価になります。
「巻」というのはかつてのフィルム映画の1リールの尺が約10分であったことの名残です。
10分の映像に、字幕が20枚だったとしても、200枚だったとしても同じ料金になりますので、
台詞の少ない作品は翻訳者にとってはありがたい限りです。
(ただ私の経験では、ライヴ映像など極端に台詞の少ない作品は、通常の単価の2割減などで計算されることもよくありました。)
また、21分の作品も29分の作品も「3巻」とされるので、21分のほうが翻訳者にとっては「ラッキー」ということですね。
しかし最近では、ネット配信(Netflix、Huluなど)の作品は、
1分単位で計算されるようになりました。
これは翻訳者にとっては死活問題です。
例えば、21分の作品の場合。。。
・「1巻1万円」で請けた場合・・・3巻3万円
・「1分1000円」で請けた場合・・・21分2万1,000円
という計算になり、ギャラが実質3割減になってしまいます。
もし年収が3割減になったら。。。なんて考えると恐ろしすぎます。
またこれも恐ろしい話ですが、一部の翻訳会社ではオープニングやクレジットを尺に含めなかったり、
しゃべり始めたところから尺を計算したりする場合もあるそうです。
ちなみに優良なクライアントはこのようなやり方はしませんので、
やはり取引先の選択は翻訳者にとって重要な問題になります。
長くなりましたので、料金相場については次の記事でお伝えしようと思います。