最低賃金を下回る仕事しか取れないなら、フリーランスは辞めたほうがいい
以前からたびたび映像翻訳のギャラ低下について話題にしていますが、今年に入ってまたその傾向を実感しています。
なんかお金の話題が多くて「カネゴン」みたいに思われそうですが(笑)、働く上で一番大事なことだし、翻訳学校ではこういう話は聞きたくても聞きにくい話題だと思うので、ここでは性懲りもなく取り上げていきますよ~。
以前記事にした「神対応」の会社も、恐れていたとおりというか案の定というか、動画配信作品については1分単位での計算になりました。
去年までは動画配信でも10分単位だったのに、今年に入って何の前触れもなく「1分○円」で依頼されたのです。
「今回は予算が少なくて、すみません。。。」
という感じで。
「1分単位でなんか受けられるか~!」
と言ってみたいところですが、私だって他の会社からは1分単位の仕事を受けているわけなので、そんな大口は叩けません。。。
大元のクライアントが1分単位で制作会社に支払っているわけだから、翻訳者が同じように請求せざるを得ないのは、まあ仕方のないことでしょう。
それにしても、Netflix、Amazon、Huluの3大動画配信サービスはそれなりに儲かっているように思えるのですが、それほど日本語版制作に割く予算が少ないのでしょうかね。
もっと頑張ってほしいものです。
さて、本題ですがフリーランスには最低賃金というものがありません。
調べたところによると、東京の最低賃金は958円(2018年5月現在)。
翻訳の仕事をしていると人に言うと、たいそう立派な仕事のように思われますが、
映像翻訳では最低賃金を下回るような仕事もあります。
・内容が専門的で調べものに時間がかかった
・台詞が極端に多かった
・チェックバック対応に時間がかかった
上記のような理由で、想定以上に作業時間がかかったということなら仕方ないと思います。
しかし、明らかに格安な翻訳料の仕事を受けると、当然のこと最低賃金を下回ることは予想がつきます。
作業スピードのことも記事にしましたが、字幕なら翻訳者が1日に裁ける分量はおよそ10分。
台詞が少なく簡単な内容なら、5時間以内で完成させられるでしょうが、逆の場合なら10時間以上かかることもあるでしょう。
まあ間を取れば、やはり7~8時間ってところですかね。
これに、プラスアルファでチェックバック対応の時間もあり。
そう考えると、1分800円以下の案件は最低賃金を下回る可能性が非常に高いということです。
特に独立したばかりの方には覚えておいていただきたいのですが、取引先で一度設定されたギャラ単価は、下がることはあっても上がることは非常に稀です!
つまりギャラを上げるには、特定の会社の単価を上げていくよりも、条件のいい会社を新規開拓していくほうが早いということ。
また、最低賃金を下回る仕事しか取れないなら、はっきり言って外で働いたほうがいいと思います。
以前、他の翻訳者さんのブログで、「どんなに安くても翻訳の仕事を続けたい」という内容の記事を見ましたが、残念ながら私はそうは思えないです。
はっきり言って生活もかかっているし、10年以上翻訳の仕事を続けてきた自負もあります。
「自由な時間が取れるからフリーランスで働きたい」と思う人もいるでしょうが、
フリーランスは自由であって自由でない。
急な仕事で休日返上することもあれば、暇なのに時間を拘束されることもある。
自分や家族の病気で時間が取れなくても代わりはいない。
おまけに健康保険も全額自己負担。
あ、なんか愚痴ばっかりになってしまいました。。。
要は、業界のギャラ低下を嘆いているという内容です。
どうか同業者の皆さま、格安案件は受けずに業界全体の単価を上げていけるように頑張りましょうね。