映像翻訳者、月収の理想と現実 年収1000万円を目指すには?
以前も何度か、映像翻訳者のギャラに関する記事を書いてきました。
料金相場と作業スピードについての記事を読めば大体月収の予想はつきますよね。
しかし今回は、映像翻訳者が1か月にいくらの売り上げを見込めるのか、
改めて詳しく試算をしてみたいと思います。
ドラマシリーズの場合
シリーズものの仕事を請ければ数か月先までスケジュールが埋まりますので、
フリーランス翻訳者としてはちょっと安心。
しかし、ドラマは尺の割に情報量が多く(=字幕数も多い)、映画よりも大変なことが多いのです。
大変なジャンルはというと、刑事もの、医療もの、法律ものなど。。。
刑事ものだと、45分で3~4人ぐらい人が死ぬことも珍しくないですから、そりゃ忙しいですよね。
ドラマの尺は、
北米制作のものは45分、
ヨーロッパ制作のものは60分
ということが多いです(韓流ドラマなども60分前後が多いかと思います)。
で、「作業スピード」の記事には
45分ドラマなら5日間
60分ドラマなら7日間
で訳せると書きましたが、それは単純計算の話です。
情報量でいえば45分も60分も同じぐらいになっている場合が多いので、
(60分の内容を45分に凝縮している感じ)
60分ドラマでも5日間で作業できる可能性があります。
そうなると、週5日の作業、週1本納品だとして、
45分ドラマと60分ドラマでは月収に違いが出てきますよね~。
パターンA:
15,000円/巻で45分ドラマを受けると、1本75,000円。
月4本納品なら300,000円。
パターンB:
15,000円/巻で60分ドラマを受けると、1本90,000円。
月4本納品なら360,000円。
6万円の違いです!
映画本編の場合
映画本編なら尺は幅広いですが、私のような下々の翻訳者が請けるような映画は、
DVDスルーの作品や動画配信サービス向けの作品が多いです。
ゆえに劇場公開の作品とは違い、80~110分程度の尺が短めの作品が大半を占めますね。
そして、B級映画に多いホラー作品なんかは字幕数も少ないので、
90分でも5日程度で作業することが可能です。
パターンC:
15,000円/巻で90分映画を受けると、1本135,000円。
月4本納品なら540,000円。
なんと、60分ドラマの「パターンB」より18万円も売上がアップします!
しかし現実的には、週1本のペースで映画の仕事を請けられるなんてことは、
大御所レベルでないとちょっと難しいかなと思います。
しかも、週1本ペースで楽な長尺案件が入ってくるわけもないですしね。。。
年収1000万円を目指すには?
以前、『通訳翻訳ジャーナル』に載っていた年収1000万円の映像翻訳者さんについての記事も書きました。
この方は毎日、1日15時間以上も稼働しているそうです。
つまり、「1日7~8時間の稼働、土日は完全休み」の
私の労働時間の3倍以上は働いておられるということでしょう。
年収1000万円を目指すには、月に80~90万円程度の売上が必要です。
15,000円/巻だとして45分ドラマなら、
月12本納品で900,000円を見込めます。
ドラマを週3本納品するという驚異のペースになりますが、
現実にこのような働き方をしている方もいるということです!!
(件の翻訳者さんは、ギャラの安い案件も請けているとのことなので、
私の試算よりさらに多くの作業量をこなしている可能性が高いです。)
確かに、休みなしで1日15時間以上働くのであれば、90万円の月収は見込めると思います。
ただ、作業スピードの他にも、いいタイミングで複数の案件を掛け持ちできるかどうかの問題も出てくるでしょうね。
翻訳者として優秀であることは必須ですが、どんな仕事も断らないという姿勢も重要になってくると思います。
まとめ
コンスタントに映画の仕事を請け続けるのが理想ではありますが、
私の場合、最近は断然にドラマの仕事が多くなってきました。
やはりこれも、動画配信サービスの影響が大きいと思います。
ドラマの仕事は数か月先までスケジュールが埋まるのがメリットだと書きましたが、
その期間、別の美味しい仕事が来ても請けられないというデメリットもあります。
先が見えないフリーランス翻訳者にとっては、
仕事が舞い込んでくるタイミングや運も重要な要素になりますね。
今年も多くのいい作品と巡り合えることを期待しています。