フリーランス映像翻訳者の孤独LIFE

映像翻訳者になって早10年。仕事、育児、お金、孤独な引きこもり生活のいろいろ。

オールライツの罠 転用料の謎

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テレビ番組のために制作した字幕がDVDなどのパッケージで発売される場合(あるいはその逆)、またはネット配信される場合に発生するのが転用料(二次使用料)です。

(テレビ→パッケージ→ネットの場合は三次使用料まで発生。)

 

 

 

転用料については、「○%」と決まっていることもあれば、先方から突然「○円で請求してください」と言われることもあり、いまだに私も戸惑うことがあります。

 

最近ではネット配信の成長で、字幕の流通の仕組みも複雑になりつつあります。

そこで映像翻訳業界に台頭してきたのが、

「オールライツ」

いわゆる出版業界でいえば「買い取り」です。

 

一度翻訳料を支払えば、あとはどこで使っても翻訳者に対して転用料を払う必要がないということです。

 

 翻訳料に50%増しでオールライツ料が支払われたり、翻訳料の単価が少し上がったり、はたまた少しも翻訳料が変わらず「オールライツ」で契約を結ぶこともあります。

 

50%増しだと相当なギャラアップになりますのでうれしい限りですが、転用料を請求する場合とどっちが翻訳者に有利なのでしょうか。

 

申し上げたとおり転用料はピンキリですが、一般的には二次使用なら10~30%くらいが相場、三次使用は10%に満たないことがほとんどかと思います。

 

ただネット配信の場合は期間ごとの契約なので、更新による追加分の転用料が発生することがあります。

 

よって人気ドラマなど配信が長く続きそうな作品は、オールライツより転用料のほうが有利かもしれませんね。

 

また以前、あまり単価のよくないドラマを担当したことがあったのですが、1年以上たってから約50%の転用料を請求するようにと言われました。

 

十何本をまとめてなので結構大きな額で、臨時収入になりました。

 

このようなことを考えると、

目先のオールライツより長期的な転用料

のほうが有利なのかもしれませんが、作品の人気にも左右されることかもしれません。

 

 

また翻訳会社からの案件に関しては、転用料も翻訳会社に支払われることになると思うので、それを翻訳者に払うかどうかは会社の方針次第だと思いますが、

私は今まで翻訳会社から転用料というものを頂いたことがありません。

(あるいは制作会社・翻訳会社間の契約がすでにオールライツなのかもしれません。)

 

そしてオールライツか転用料かを選択する権利は翻訳者にはありませんので、これを議論する意味はないようにも思われますが、先に取り上げたとおり

ギャラが安くても転用料が高い

というパターンもまれにありますので、仕事を選ぶ際に頭に入れておくべきだと思っております。