モチベーションを上げたい時に読む記事 出版翻訳家・故山岡洋一氏のインタビュー
ある時、たまたまネットをさまよっていて、出版翻訳家・山岡洋一氏のインタビュー記事を目にしました。
トップページに「山岡洋一が怒る」とあるとおり(笑)、
翻訳家志望者や翻訳業界全般についての厳しく鋭い意見が書かれています。
このインタビュー記事自体は2000~2001年頃に掲載されたもので内容がいささか古い部分もありますが、氏の翻訳に対する真摯な思いは今も手本にすべきものだと思います。
今回は、私が厳選した山岡氏の名コメントをご紹介したいと思います。
【翻訳家志望者について】
翻訳志望者に感じることなんだけど、収入に対する目標額が少なすぎる。
プロの仕事なんだから、プロの腕をみせて、プロとしての報酬をもらわなければならないんです。
(中略)
配偶者控除枠内で年収100万円を突破したいなどという目標でくる人には、はなからやめておけと言いたいですね。そんな程度の仕事じゃないんだから。そういう人には、コンビニでパートでもやったらと言いたい。その方がずっと楽に稼げるでしょう。
「コンビニでパート」のくだり、すごくよく分かります(笑)。
ものすごく手間のかかる案件の場合、時給に換算したらパート以下だよね?ということ、よくあります。
山岡氏が意味していることとは少し違うかもしれませんが、深く共感してしまいました。
また、確かに「収入の目標額が少なすぎる」というのも納得!! 私だ~。
目標400万円と以前書きましたが、完全に山岡氏に怒られますね。
【出版翻訳の訳文について】
たとえば、会話の部分で、女の子も、ヤクザや警察官も、みんな同じ調子で話していたりする。恋人同士でしゃべっているところでも、どっちが男でどっちが女なんだか分かりゃしない。
ここは出版翻訳に関する話ですが、映像翻訳にも通じるものがあります。
ついつい小手先だけで訳していると、単調な口調になりがちなんですよね~。
ジブリの映画なんかを見ていると、こんなに日本語ってバリエーション豊かで美しい言葉だったんだなあなんて感心しますが、なかなか自分では使いにくいものです。。。
【クライアントに対して】
ちゃんと使える翻訳が欲しいのなら、プロが食える料金をだしてプロに頼みなさい、と言いたいですね。
「プロが食える料金」の部分、映像翻訳業界のすべての制作会社、翻訳会社に読んでいただきたい!!
今の映像業界には、「とにかく訳がのってりゃいいから、安い翻訳者を使え」と考えている会社が少なからずあります。
料金よりも質を重視することが当たり前になってほしいものです。
【翻訳の面白さ】
翻訳ほどおもしろい仕事はないんじゃないか、と思いますね。
(中略)
50を過ぎても、まだまだ勉強が足りない、もっと勉強しなくては、と思える職業はあまりないんじゃないかと思うんです。
私などは、今でも毎日のように勉強不足を痛感しますが、山岡氏のレベルになっても同じように考えていたとは、恐るべし翻訳!
私は中高生頃から、答えのないものを追求する職業に就きたいと漠然と思っていました。
翻訳者は、まさにそんな職業の1つ。
今後も勉強を続けていかなければいけないですね。
山岡洋一氏は2011年に、62歳でお亡くなりになっています。
このストイックさゆえに、お仕事で無理して体を壊したのでなければいいのですが。。。あまりにも早すぎますよね。
映像翻訳の太田直子さんも若くしてお亡くなりになっていますが、
フリーランスというものはとかく自分の健康を後回しにしがち。
私ももう若くはないので、健康管理にも気をつけながら精進していきたいと思います。