フリーランス映像翻訳者の孤独LIFE

映像翻訳者になって早10年。仕事、育児、お金、孤独な引きこもり生活のいろいろ。

映像翻訳のチェックバック こんなチェックバックは困る!!

 

 映像翻訳者にとって恐怖のチェックバック

といっても、この業界の関係者以外は「チェックバックって何ぞや?」と思いますよね。

 

 

チェックバックとは、ディレクターから送られてくる相談事項修正依頼のことです。

「チェックバック」という言葉は、他の分野の翻訳業界では聞きませんので、恐らく映像業界独特の用語だと思われます。

 

またチェックバックがなく、翻訳者とのやり取りなしで修正してしまう会社もあります。

 

通常は直接の取引先からのチェックバックが2往復程度。

その後、大元のクライアントからのチェックバックが1往復

このくらいでFIXすることが多いです。

 

もちろんチェックバックはあったほうが今後の訳文にも反映できるのでありがたいのですが、時にはとんでもなく細かく厳しいチェックバックをもらうこともあります。

 

特に新人の頃は、

9割くらい直されてるんじゃない!?

ということもありました。

 

また今でも細かいディレクターからは何度も質問攻めを食らい、

5往復くらいやり取りすることもあります。

ディレクターによって、細かい人とおおらかな人と、かなり差があります。

 

細かい場合には、それほどよく見てもらっているということですが、翻訳者としてはかなりヘコみます。

しかもその猛烈チェックバックがドラマシリーズで、毎週届くと真剣に廃業を考えます。。。(笑)

 

さて、かつては私もチェックバックを出す側だったわけですが、もらうようになってから結構困ったチェックバックにも出合うようになったので、振り返ってみたいと思います。

 

1、一切代案を出さない

 私自身ディレクターをしていた時は、「この代案でどうですか?」となるべく自分から提案するようにしていました。

ところが代案を一切出さないディレクターもいるので、これはなかなか翻訳者にとって負担だなと思いました。

 

2、「代案をください」だけのリクエス

訳文が分かりにくくて、修正が必要なのはわかるのですが、

「どこが分かりにくいのか」

「どこを訳出してほしいのか」

その方向性が分からないと、ディレクターが希望するような代案を出せる可能性が低くなりますよね。

 

自分としては、それがベストだと思って納品しているので、どこが悪いか気づきにくいものです。

 

方向性を示してもらわないと、何度もやり取りする必要が出てきて、お互いに生産性が悪い。

 

できれば、「この部分を噛み砕いて」というのを少しでも示してもらえばと思うのです。

 

3、突然送ってきておいて、早く返事をくれとの依頼

 

急ぎのチェックバックというのは、たびたびあります。

 

しかし、

「明日朝イチで送るので、お昼までに返事をもらえますか?」

のように事前にスケジュールを聞かれて対応することがほとんどです。

 

その場合は問題ないのですが、突然朝イチでチェックバックが送られてきて、「昼までに返事をください」というのは困ります。

別作品の納品が迫っている場合もありますし、仕事やプライベートで外出していることもあります。

 

実際、せっかく時間ができて買い物に出ていた時に、このようなメールをもらって慌てて帰宅したことも一度や二度じゃありません。

 

また、金曜夜にチェックバックを送ってきて、「月曜朝に返事をください」というのもですよね。

「週末休むな」と言われているのと同じです。。。

 

以前ドラマシリーズでこのスケジュールが続いたので(金曜夜にチェックバック、月曜朝に回答)、土日に働きたくない私は毎週月曜4時起きで対応していました(泣)。。。

 

4、回答の期限が書かれていない

大体の場合、「○日までに回答をお願いします」と担当者がメールに

記載してくれますが、これを書かない人もいます。

 

期限に余裕があるということかと思い、

「では明日までに回答します」と回答をすると、

「今日中にもらえませんか」と(!!)。

 

3とも似たような話になりますが、急ぎなら「必ず」

また急ぎでないとしても、目安となる期限は

できる限り明記してもらいたいものです。

 

5、どうでもいい修正の依頼

 

これは新人のディレクターに多いのですが、「どっちでもいいんじゃない!?」と思えるような修正をたくさん依頼してくる場合です。

 

実際私も新人ディレクターの時に、変な修正依頼を出していたように思います(笑)。

 

例えば、半角アケ。

「一番好き」

「一番△好き」(△は半角アケのことです)

どちらでも許容だと思いますが、私は半角アケ派です。

 

ベテランのディレクターなら、この辺は翻訳者に任せるのですが、新人ディレクターは自分流に直そうとしがちなのですよね。

 

「一番好き」と直すとすると、今までの同様の訳文も全部チェックして修正する必要があります。

無駄な作業ですよね。

 

統一されているならどっちでもいいものは、翻訳者にお任せでいいのでは?

と私は思います。

 

6、勝手に直しておいて、「統一しろ」との依頼

 

事前に相談があったなら問題ないのですが、相談なく先方が訳を変えてしまった場合、もう私の手から離れものだと認識します。

翻訳者の意図にそぐわない形で変更しておいて、「これに統一して」というのは理不尽じゃないかなと。。。

 

相談もなく訳を変えるなら、あとのことは「そちらにお任せします」と思うのです。

煮るなり焼くなり勝手にしてもらって構わないので、すべてそちらで修正してほしいと私は考えます。

 

以上、映像翻訳歴10年のミフミが大胆に綴ってしまいました~!