フリーランス映像翻訳者の孤独LIFE

映像翻訳者になって早10年。仕事、育児、お金、孤独な引きこもり生活のいろいろ。

映像翻訳って?

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映像翻訳には、字幕吹替、また吹替に近いですがボイスオーバーがあります。
以前は劇場映画といえば字幕が主流でしたが、活字離れが進む近年では吹替の勢いが増していますね。
私も劇場では字幕派ですが、自宅で「ながら視聴」をする時は、もっぱら吹替派です。

それぞれの特徴や作業について、詳しくまとめていきます。

 

 

 

【目次】

1、字幕翻訳

劇場映画、テレビドラマ、DVDの特典映像、トレーラー(予告)、ドキュメンタリー、バラエティーなどあらゆる分野で使用されます。

視聴者としては登場人物の声を原音のまま楽しめることが魅力ですが、
制作側としては何より安価に短期間で制作できることが魅力でしょう。


吹替は翻訳作業のあとにスタジオでの収録があります。
編集作業に多くの人が関わる必要があるため、字幕よりも時間と費用がかかります
ですから、多くの場合映画本編には吹替版が作られますが、特典映像(メイキング、未公開シーンなど)には字幕版しか作られません。

ルールについての詳細はここでは書きませんが、「1秒4文字」というのが字幕翻訳のスタンダードです。


昔は翻訳者がストップウォッチでタイムを測って作業したようですが(私も学校ではやったことがあります)、今ではカンバス社の字幕作成ソフト「SSTG1」でスポッティング(台詞の長さを測ること)、翻訳をするのが主流です。
というか、コネのない新人の場合はこのソフトを持っていないと仕事が得るのが難しいと思います。

字幕と吹替を比較すると、作業は吹替のほうが圧倒的に大変ですが、このスポッティング作業は字幕独特の面倒な部分ですね。
しかしドラマシリーズなど毎週の納品が続くと、この“無になれる”スポッティング作業がちょっと楽しみになります。

 

2、吹替翻訳

劇場映画、テレビドラマ、ドキュメンタリーなどで使用されます。

やはりドラマやシットコム、アニメ作品は吹替で見る方が多いのではないでしょうか。
吹替は役者(声優)さんがキャラクターに新たな命を吹き込んでくれますので、
原音とはまた違う雰囲気を楽しめるのが魅力だと思います。


また字幕よりもたくさんの情報を入れることができますので、情報量の多い作品や難解な作品は吹替のほうが理解しやすいでしょう。

先ほど述べたように、作業は吹替のほうが大変です。
唇の動きに合った台詞を作ることが重要ですし、すべての音を聞き取って、

《息》《せき》(SE 警報)

など書き込む必要があるからです。
また、テレビの音や話し声など、たとえ内容が聞こえなくても音が聞こえる場合は、
すべて創作する必要があります。

登場人物リストや梗概(あらすじ)を作成する作業もあります。
(字幕でもこの作業が必要な場合はあります。)

吹替は役者さんありきなので、ある程度演出が入ることも多いです。
制作会社時代にナレーション原稿のチェックをして、「あまりいい出来じゃないな~」と思ったことがありましたが、あら不思議、役者さんが読むと全然違和感がなく入ってきます。
やはり「読む」のと「聞く」のは大きく違うということですね。

 

3、ボイスオーバー

ドキュメンタリー、報道、ビジネス系の素材、スポーツ、フィットネスなどで使用されます。

原音がわずかに聞こえる状態で、吹替の台詞をかぶせる手法です。
作業は吹替と似ていますが、台詞の尺を合わせる必要はありません。


私は今では字幕しかやりませんが、字幕と吹替両方とも担当する翻訳者さんも多くいます。


最初のうちは、どちらかと決めずに両方の学習をしていくほうが、翻訳者としてのチャンスが広がるでしょう。